奈良市西笹鉾町
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自転車の弊害


 

「歩くのがいいですよ」 とお話しすると、よく 「自転車はどうですか」 という質問が返ってきます。 《歩くのが面倒だ》 と感じる人が多いんでしょう。このこと自体が問題ですけれど、 それはさておき、この問いにどう答えたものでしょうか。

播磨中央公園 (溝端久枝さん提供)

『構造医学』 によると

自転車が身体にいいかどうか、身体の構造から解明した本があります。 『構造医学』(吉田勧持・著、エンタプライズ)です。この本は整体に関心のある人だけでなく、 人間の身体に興味のある人なら、一度は読んでみて損のない本です。私たちも少し読んでみましょう。

「たしかに自転車は便利だし、排ガスを出さないから環境にやさしいといえなくもない・・・ しかし、健康的だというにはあまりにも問題が多い。」 (p.65)

うーん。《常識》 とはずいぶん違うことが書かれているようですね。《常識》 と違う意見には静かにじっと耳を傾けたい。 もう少し読んでみましょう。

「恥骨結合部に左右方向の離開力がはたらき、WBに隙間が発生しているのがわかる。・・・ サドルのくさび作用で破壊され、WBは重力定量器として機能していないことを意味している。」 (p.66)

これはどういう意味でしょうか。立ち止まって考えて見なければ。ここで 「WB」 は仙腸関節のことです。 仙腸関節について、詳しくは他のページ、例えば 「骨盤と仙腸関節」 のページをお読みください。

播磨中央公園 (溝端久枝さん提供)

仙腸関節に隙間が発生

それから 「恥骨結合」 とは何でしょうか。骨盤の横、両側に二個の大きな骨が飛び出ていますね。腸骨と呼ばれる骨で、 この骨はお尻の坐骨や一番下の恥骨ともつながっています。あなたの 《大事な部分》 を押さえてみてください。 確かにそこに骨があるでしょう。それは一個の骨でなく、左右からつながっていて、 この部分が 「恥骨結合」 と呼ばれています。ここに 「左右方向の離開力がはたら」 くという。

自転車に乗ると、どうなるでしょうか。恥骨結合の部分がサドルにあたりますね。 そこへ上から体重がモロにかかってきますから、恥骨結合の部分には、常に両側へ開く力がかかることになります。 その影響で腸骨とその真ん中にある逆三角形の仙骨の境にある仙腸関節に隙き間が発生します。 つまり骨盤が締まりのない状態になってしまうわけですね。ですから自転車に長時間乗るのは好ましくない――。 書かれているのは、そういう趣旨です。

もう一つの問題

『構造医学』 によれば、自転車の問題点はそれだけではありません。自転車に乗っている人。 なかでも専門的に自転車に乗っている人。競走用の自転車で国道などを走っている人を見かけますね。 お客様の中にそういう人もいますので、拝見すると共通しているのは、太ももが発達して太くなっているけれど、 膝から下は普通だということです。この事実は理解しやすい。自転車のペダルは回転しますから、 膝から下は大して動いていないわけです。こぐ力の大半は太もも。膝から下は回っているだけという状態です。

ここで考えることが必要なのは、膝から下のふくらはぎの筋肉がどのような働きをしているか、ということです。 これも 『構造医学』 の本に詳しく書かれています。ふくらはぎの腓腹(ひふく)筋と呼ばれる筋肉が伸び縮みすることで 静脈血を心臓に送り返す働きをしている。これが血液循環の原動力となっています。

ここの筋肉は自転車ではあまり使わない。これを使うのは 「歩く」 という動作ですね。 歩くためには腓腹筋をせっせと働かせなければなりません。これは血液循環をよくしますし、 心臓の負担を少なくもするはずです。この点から見て、自転車では太ももが鍛えられるけれど、 ふくらはぎはあまり働かないというアンバランスなことになる可能性が高い。

播磨中央公園 (溝端久枝さん提供)

後でよく歩こう

以上のようなことから、この本には次のようなアドバイスが書かれています。

「自転車に乗ったら乗りっぱなしにしないで、必ず後で歩くことなどを心がけるようにしながら、 生理性を保ちたいものである。」 (p.68)

私はもう一点、恥骨結合が左右に開く力を受けにくいよう、サドルのできるだけ後ろの方、 広くなっているところに乗るように提案したいと思います。サドルの形をバイクのように改良すればいいのかもしれません。 でも、それよりもてくてく歩こう。

 

(2007.11 初出)
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