動かぬ指、痺れる手

手の指が急に動かなくなったり、しびれ始めたとしたら・・・。次のようなことを試してみたらどうでしょう。かならず解決するとはいえませんが、何かの変化があるかもしれません。

指に力が入らない

手の指に力が入らないという人は、頸(くび)の前にある「胸鎖(きょうさ)関節」という関節がずれている可能性があります。関節は二つの骨がつながっているところですから、両方の骨の名前を採って、関節の名前にしていることが多い。胸鎖関節というのは、胸のまん中にある「胸骨」と、肩の下を支えている「鎖骨」のつなぎ目にある関節です。のどの下に大きなぐりぐりが二つあるでしょう。そうそう、それです。上から押すと痛みがありませんか。

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英コッツウォルズの犬 ケビン君

なぜ頸(くび)の下が手指と関係があるのか、その理屈は難しい。ただ、言えることは次のようなことです。胸鎖(きょうさ)関節がズレている人は、肩が前に出ていることが多い。肩が前に出ていると、肩の周辺や、胸の上部が硬くなって縮んでいます。そのために腕の神経がどこかで圧迫されているのでしょう。あるいは血管が圧迫されて、手の神経に十分な栄養がとどいていないのかもしれません。いずれにしても指に故障が出ます。ですから経験的に、ここを調整すると手や腕の問題が解決することが多い。何年も解決できなかった問題が、瞬間で解決することが少なくありません。

胸鎖関節の調整法

腕がしびれるとか、手首がうまく動かない、腱鞘炎(けんしょうえん)だといわれた、というような症状では、まず胸鎖関節を調整する。そうすると、100%症状が消えるわけではなくても、かなりよくなることが珍しくありません。では胸鎖関節の調整法はどうするのか、とおっしゃるのですか? 自分でも出来る方法を書いておきましょう。左手が悪いとします。右手が悪い場合は、この逆です。

まず、右手の先で左の鎖骨の上を下に向けて押えます。鎖骨はのどの下から肩の手前までありますが、押えるのはのどの下のぐりぐりよりやや肩よりのあたりが適当です。そうして、左手の肘(ひじ)を曲げて手を肩の横あたりに持ってきます。それからひじを自分の背中にむけて構える。次に右手の指先に力を入れて、下へ押し下げると同時に、左手のひじを自分の背中に向けてけりだします。これを何度か繰り返す。終わったら、のどの下の二つのぐりぐりを探します。左側のぐりぐりの上をさわってみて痛くなくなっていたら、それで胸鎖関節が調整できたことになります。

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旧・薬商のかまど

もう一つの調整法

もう一つのやり方を紹介しておきましょうか。これは誰かにやってもらう方法です。まずやってあげる人(する人)が、やってもらう人(される人)の後ろに座る。二人とも正座がやりやすいでしょう。そうしてする人は、される人の悪い側(仮に右とします)の脇の下から、悪い側(右)の腕を差し入れます。差し入れた腕を上に曲げて、される人の肩をかかえる。ですから、する人の手は手前に曲がって、される人の肩のうえにさわる格好になります。もう一方の手(左手)は、される人の背中、背骨よりやや外がわくらいのところを手の平で押えます。そして、する人は右手でされる人の肩を手前に一気にぐっと引きます。ボキっと音がする場合もあります。これを2度ほど繰り返す。その後、する人は、される人の前に手を回して、胸鎖関節の上を押えて痛みがなくなっているかどうか確かめる。痛みが消えていたら成功です。これで手の不調がなくなっていることが多い。どうです。簡単でしょう。

これがうまく行けば整体屋さんに頼まなくても自分で指が動くようになりますから、めでたし、めでたし。でも、いつもうまく行くとは限りません。肘(ひじ)がねじれているからかもしれませんし、頸(くび)の骨がズレているからかもしれません。胸鎖関節の周りが硬くなっていることもあります。その時は専門家にご相談ください。ただし、手だけでやってくれるところに限ります。電気をあてるようなところでは無理でしょう。