地因ストレス

住まいが水脈や断層の上だったりすると、人がその影響を受けて「うつ」になったり、からだの異常を示したりすることがあるといいます。本当なら真剣に考えなければならない。

ジオパシック・ストレス?

「地因ストレス」とは見慣れない言葉です。それもそのはず。私が作った言葉ですから。ウェブに「ジオパシック・ストレス」と書かれた記事がいくつもあります。でも、これで意味の分かる人は、ほとんどいないでしょう。geopathic stressと英語で書くと、何となく分かるという人がいるかもしれませんが。

geopathic は geo と pathic とから出来ています。geo は「土地」とか「大地」を表します。たとえば geography は「地理学」とか「地形」ですし、geology は「地質学」です。「幾何学」を表すのは geometry。幾何学は土地を計ることから始まったことを考えれば、これも「地」に関係ありますね。geo は「地」であると、まとめておきましょう。

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兵庫県最古のため池「天満大池」
(山元和雄さん提供)

次の pathic は pathy の形容詞形です。例えば homeopathy ホメオパシー。日本語では同種療法。この場合の pathy は「療法」の意味ですね。telepathy テレパシー。これは日本語になっています。sympathy シンパシー「同感」や apathy アパシー「無関心」もありますから、「感情」とまとめましょう。psychopathy サイコパシーの場合は「精神疾患」ですから、pathy は「疾患」を表します。

というわけでpathyは「感情、療法、疾患」などを表しています。geopathy といえば、「地」の「疾患」ということになりますね。「地が原因で生じる疾患」というほどの意味を表していることが分かります。そこで「ジオパシック」という言葉を「地因」としておきます。あとに「ストレス」という言葉が続くので、疾患という言葉は入れなくても分かるでしょう。

言葉を作った人

「地形と健康」について書いたところ、Yさんという方から、ロンドンに住むロルフ・ゴードン Rolf Gordon さんのサイトを教えていただきました。ここに geopathic stress という言葉が登場していたわけです。長文ですので、このサイトに書いてあることをかいつまんでご紹介しておきたいと思います。

ゴードンさんは20年前に息子を癌(がん)で亡くし、土地が原因のストレスが存在することに気づいて、調べ始めました。英語で書かれたものがなく、デンマークやドイツの文献から探し出して、これを geopathic stress と名づけます。やがてこのストレスをどのようにチェックすればいいか、睡眠・生活・仕事に適した場所はどういうところか、といったことが分かってきました。今では地因ストレスについて書かれたサイトがネットには30万ほどあり、息子の死はムダにならなかったとゴードンさんは書いています。以下、ゴードンさんに倣って「地因ストレス」の頭文字をとり、簡単にGSと書くことにします。

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牡丹(溝端久枝さん提供

まずGSの特徴は次のような症状です。――医療では治らない疲労感、神経質、うつ、食欲不振、顔色が悪い、不眠、冷え性、けいれん、手足が痛い、夢遊病、歯ぎしり、悪夢、朝起きたときに疲労感がある、頭がぼおっとして背中が痛い。こどもの場合には、おねしょ。赤ちゃんの夜泣き。GSそのものは病気に結びつかなくても、免疫システムの働きが低下するため、病気が治りにくい。ビタミンやミネラル、微少元素などの吸収が悪い。食物や環境汚染でアレルギーを起こすことがある。

それではGSとは何なのでしょうか? ゴードンさんの定義はこうです。「大地から波動が上がって来ている。地下を走る水脈、ある種の金属鉱脈、断層、地下空洞のあるところで弱い電磁場が生じる。これが大地の波動を歪めるが、異常に強くなると生物に有害となる」。

GSがあれば次のような現象が見られると書かれています。

1.あなたの抱えている問題は、引越して来た直後から発生したか?

2.家や仕事場を離れると、気分がよくなるか?

3.家にいると、家族のだれかに落ち着かない人がいないか?

4.前の住人で重い症状を持ったり、慢性病にかかった人がいなかったか?

5.春秋の季節、雨の時期に病気が悪化しないか?(地下水が増える)

6.体調が悪くなる前に、水脈が変わるような地すべり、工事、採鉱などがなかったか?

7.家のどこかに不自然な寒さや湿っぽさを感じるところはないか?

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猿沢の池の亀たち

眠りとGS

ちょっと横道にそれます。整体の仕事をしたあと私は、身体ではなく頭が疲れていまして、夜はあまり文章を書いたりする気が起きず、だらっと寝転んでインドの人が書いた本を読んでいたり、リコーダーの音楽を聴いていたりします。一日中、ひとの膝やら腰やらをせっせと動かしていますから、けっこう手や腕が疲れるんじゃないか、と尋ねてくださる方がありますけれど、手や腕の疲れはたいしたものではありません。このあいだなど、掌がつるつるですねえ、と感心してくださる方がありました。来てくださっている方の身体からエネルギーをいただいているんでしょうね。ありがたいことです。整体は肉体労働ではない。一日が終って身体がへとへとになっているという整体関係者がいるとすれば、その人の身体の使い方が誤っているのではないでしょうか。

整体にやってくるのは病院や治療院で見放された、難しいからだの問題を抱えた人です。そういう人が次々やって来ますから、その謎解きをしなければなりません。頭をしっかり使いますね。それで夕方になると頭が疲れている。ですから文章を書くのは、たいてい午前4時とか5時とかの早朝ということになるわけです。今は午前3時半を少し過ぎたところ。床につくのは午後9時半とか10時ごろです。夕べは最後の人の膝がたいへん難解な状態で、それと格闘して頭がくたびれていましたから、横になってすぐ意識不明になってしまったらしい。すぐに意識が飛んでいってしまうのは、このうえない幸せだ。

さて本題に戻ってロルフ・ゴードンさんがホームページに書いていることを引き続きご紹介しましょう。眠りとGS( geopathic stress 地因ストレス )との関係から ――。眠っている時に脳はどういう状態にあるでしょうか。半分は休息しています。つまり深い眠りの状態にあります。あと半分は身体を癒すのに忙しい。身体を癒すのに脳が指令を送って活動しなければなりません。ところがGSのある場所で眠ると、脳がずっとストレスにさらされていますから、深い眠りの状態になれない。目覚めた時に、なんだかすっきりしない、疲れているなあ、と感じる。とすれば、ぜひGSのない場所で眠りたいものです。

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和歌山県湯浅町で

ゴードンさんは、眠っているあいだに脳が「家事」をしているんだと、うまいことを言う。新しい細胞を作ったり、ビタミンやミネラルを必要・十分な量だけ吸収し、ホルモンのバランスを整えるように身体に正しい指令を送ったりします。でもGSがあると、こうした作業にじゃまが入って、免疫システムが弱いまま放置されてしまう。GSが消えてなくなると、こういう問題はすぐに解決されて、からだが正常な状態に復帰するようになっているんだそうです。

ME(筋痛性脳脊髄炎)あるいはCFS(慢性疲労症候群)という名前で知られる症状があります(詳しくはウィキペディアで検索してください)。この症状は眠ることで改善されるという報告がありますが、慢性疲労症候群の人は大半がGSのある場所で寝ている可能性がある。つまり悪循環になっているわけですね。また、離婚する人の8割、うつの人、自殺者はGSの被害者である可能性が高いという。うーん、本当なら大変だ。でも本当だろうかと、ここで疑問が出るのを見越してゴードンさんは次のように続けます。

地下水脈の影響?

あなたの家にはGS(地因ストレス)があると言われても、気のせいだろう、と考える人が多いことでしょう。GSだと言われると、そんな気もするが、それだけのことだろう、というわけですね。じゃあ動植物や赤ちゃんはどうなりますか、というのがゴードンさんの投げかける疑問です。動物はたいてい自分に一番あった場所で眠るもので、GSのあるところで眠らなければならない場合は病気になるという。植物もGSポイントだと育ちにくく実を結ばない。赤ちゃんはGSのあるところに寝かされると、できるだけその場所から離れるような位置に寝ようとする。いつもベッドの隅っこで寝る子は、GSを避けているのかもしれない。こういう現象が現実にあるけれど、どう解釈したらいいのか、とゴードンさんは問いかけています。

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プラター公園(ウィーン)

メアリちゃんという赤ちゃんは夜中の3時ごろになると、いつもベッドの端に起き上がって、坐って泣きだします。ところがベッドの位置を変えてみると、朝の7時にニコニコして目覚めるようになりました。生後18か月のピーターくんは呼吸器に問題があって、入退院を繰り返しています。彼のお母さんにベッドの位置を帰るように助言したところ、呼吸が正常にできるようになり、たいへん元気な赤ちゃんに変わりました。今は9歳に成長し、お医者さんにかかることもありません。

どこかに引越しをすると家族みんなの体調が悪くなることがあります。GSのことを知らなくても、これは家が悪いのではないかと考えて、お金をかけてでも、もういちど引越しをしようということになるのは自然の勢いというものでしょう。賃貸に出ていたり、売買の対象になっている物件はGSハウスである可能性が高いということでもあるわけです。家の中のどこかの部屋に入ると気分が悪くなるとか、あるいは一軒の家に住んでいる人たちがみんな体調を崩しているといった場合には、その家がGSのある場所に位置している可能性がある。

またGSの状況を持つ人が増えているように見えるのは、GSの場所が増えているのではなく、環境汚染による影響が重なってくるからではないだろうか、とゴードンさんは考えているようです。つまりGSと環境汚染による負荷とが積み重なって、一定限度を超えるとぐあいが悪くなってくると考えられます。健康の限度はバケツのようなもので、ある限度までは人間のからだが耐えられても、一定限度以上にGSや環境汚染が重なると耐えられなくなって色々な病気を起こしてしまうのではないか。不妊や流産などの多くもGSと関係しているというのがゴードンさんの意見です。

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ハンガリー センテンドレにて

その他、子どもの学習能力やぜん息、アレルギーなどもGSと関係している場合があるという。また、専門家が3千人の子どもを調べたところ、学習障害や多動などの問題を抱えている子どもの95%は、強いGSがある場所に寝ているか、学校のそういった場所に坐っているかだといいます。ストレスのない場所に子どもを移動させると、たった1学期で成績が上昇し、最下位からトップになることもあるらしい。ただ私は、こういう話を聞かされると、本当かな、と疑ってしまうのですけれど、GSのある学校では長期欠席(不登校)が多いと聞かされると、ふーん、そういうこともあるかな、もっとよく調べることが必要なんだろうな、と考え込んでしまいますね。

住む場所が人に影響を与える

子どもを虐待する両親の8割はGSの被害も受けているとか、子どものころにGSの被害を受けると一生その影響を受けやすい、化学傷害(いわゆる「化学物質過敏症」)の被害を受けている人はたいていGSの被害も受けていて電磁場・ラドン・排気ガス・農薬・添加物などの影響を受けている、慢性疲労症候群の人たちはほとんどGSも受けていて免疫システムが弱っている、といったことも取り上げられています。

アンおばさんからはこういう便りも来ています。娘のクレア(19)は子どものころからよく眠れませんでした。助言に従ってベッドの位置を変えてみたら、その晩クレアはすっと眠りに就き、一晩ぐっすり眠りました。これで健康状態が改善されただけでなく、毎日20分は勉強できるようになりました。以前は一週間に一度15分坐るのがせいぜいでしたのに――。

がん患者のほとんどすべてにはGSがあるとゴードンさんは書いています。GSで免疫システムが低下していると、がんの治療は難しい。がんが進行するのはGSの線が2~3本以上交わっている場所である。脳腫瘍のある女性はベッドの位置を変えただけで頭痛が消えました。肺がんの患者はベッドの位置を変えてから目に見えてよく眠れるようになり、皮膚の色も大幅に改善しました。

最近がんが増えているのは太陽活動が活発化しているからではないか、とゴードンさんは考えているようです。太陽活動が活発化するとGSも強くなる。それに伴ってがんも増えるというわけです。

ただ、がんはともかく生理不順や生理痛までもGSが原因の一つ、と言われると、私は「?」をつけたくなりますね。今や3人に1人ががんという時代ではないですか。それほど世の中GSだらけというのは、どう考えてもおかしな話です。と思いつつ、なお一方で何か説得力も感じるところがGSという話の面白いところ。まあ、もう少し付き合ってみましょう。

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仏像の頭部(奈良 三条通)

ビバリーは脳腫瘍の手術を受けたばかりです。夫のボブは妻が寝ているベッドの場所が悪いのではないかと考え、何とか場所を変えてもらうのに成功しました。するとビバリーの健康は回復し、ベッドのそばに置いていた鉢植えの植物も元気になりました。・・本当かな???

エリザベスは病院でのがん治療が終って帰宅しました。病室で彼女と同じ側にいた患者はみんな帰宅しましたが、反対側にいた患者はほとんどが死亡したという。看護士さんたちは反対側に問題があることを知ってはいましたが、医師たちに話すのを嫌がっていました。私も魔の病室のある病院という話は、確かに聞いたことがあります。

車を一晩GSのある場所に駐車させておくと、運転者は居眠り運転をしたり、背中が痛くなったり、車酔いになったりしやすい。しかし、GSのない場所においておくと、こういう問題が消える? これも「???」の類かな。

研究者によると、地下60~90メートルのところをはしる水脈がGSの主な原因だといいます。この水脈が電磁場を発生させます。NASAの研究者によると自然な大地の波動は毎秒7.83ヘルツの電磁波で、これが水脈によって生じた電磁波で歪むという。この7.83ヘルツは「シューマン共振」 Schumann resonance と呼ばれるものです。これについてもゴードンさんの解説が続きますが、これくらいにしておきましょう。

関心をもたれた人は、シューマン共振についてさらに詳しく調べて見られるのもいいでしょうし、英文でGSについて読んでみるのもいいでしょう。さらに興味深いものが出てくるかもしれません。ただ、シューマン共振について門外漢が書いた記事は、眉につばをつけて読む必要があります。ある精神世界系のホームページには近年シューマン共振の「波長が増大」して来ていると書いてある。その一方で「7.8ヘルツが13ヘルツになった」と書いてある。これは高校生でも分かる間違いでしょう。波長が増大したのなら、周波数は減るはずです。ある専門家は、データからみてシューマン共振の周波数が大きく変化している証拠はないと書いています。

( 2007. 04 初出 )