メール・ヒーリング

遠くからのお問い合わせにメールや電話で回答することがあります。これだけで調子がよくなれば私としては大変うれしい。

ロサンジェルスから

アメリカ・カリフォルニア州のロサンジェルスに住む日本人女性Sさんからメールがきました。まったく未知の方です。

――こちらに日系のカイロが無数にあるのですが、どこへ言っても私の言っていることが伝わらず、まいっております。・・・カイロに行って「仙腸関節のずれからきているので、はめて欲しい」と言っても、素人が何を言っているという感じで、電気をあてられたりするだけなのです。

sesonji
世尊寺(奈良県高取町

という書き出し。これはちょっと意外。人の身体を扱う専門家が、本当に仙腸関節の扱い方を知らないなどということがあるでしょうか。

仙腸関節は腰痛ともっともかかわりの深い場所で、ここがうまく処理できないと多くの腰痛は直りません。そればかりではなく、全身の調整もまず不可能です。専門家が仙腸関節の扱い方を知らないはずはないと思いたいのですが、電気をあてるだけで済ませるのなら、知らないのかも知れません。それにしてもカリフォルニアに日系のカイロが無数にあるとは知りませんでした。

仙腸関節がよくなった

さてSさんにどう返事を書くのがいいでしょうか。メールで腰痛の直し方を説明するといっても、文章だけで理解してもらえるかどうか、なかなか難しい。以前に整体の勉強を始めたいという人たちに、メールで説明をしてみようと試みましたが、うまく行きませんでした。それでも困っている人を無視するわけにはいきません。ともかくSさんにメールを送って方法を提案しましたけれど、これはうまく行かなかった。そこで次に提案したのは、ふくらはぎを緩めることです。

ivytree
上北山村

―― うーん、そうですか。そうすると、これは脛腓関節の問題であるかもしれません。実は昨日、韓国から来られた人がありまして、やはり同じような症状でした。どこが原因なのか、よくわからずに迷いましたが、結局は脛腓関節の強い硬縮があり、これが原因であることがわかりました。

脛腓(けいひ)関節といっても一般の人にはなじみがなく、そんなの一体どこにあるの、と聞かれそうですね。脛骨はすねの骨、腓骨はふくらはぎの骨です。脛骨は太くて体重を支えていますが、腓骨は細く、つっかえ棒、ないしバランサーの意味を持っています。

この腓骨が下がると脛骨と腓骨の関節がズレることになります。この関節の位置は膝の外側横すこし下にある「ぐりぐり」です。小さい方の「ぐりぐり」です。ここの関節がズレている。これがズレると、ふくらはぎがガチガチになります。それとともにふとももの外側もガチガチになります。それだけではありません。股関節も硬くなるようです。足の指曲がり(外反母趾)がある人は股関節が硬いですが、これは足と股関節の関連を表しています。小さな関節なので無視されることが多いと思いますけれど、重要な意味をもつ関節です。

そうして寂動正體療法のサイトにある「脛腓関節」の記事を読むようにお勧めしました。(韓国の男性は、Sさんが日本に戻ってこられる代わりに日本に来られたと思ったほど、まったく同じ時期でした。完全にはよくなりませんでしたが、ほとんど上がらなかった右足が、すっと上がるようになって帰って行かれました。)

比べものにならない軽さ

で、Sさんはどうなったでしょうか。Sさんから送られて来たメールの一部をご紹介しましょう。

―― 新しい方法を、試してみました。そうしたら突然、腰の張りが軽くなりました! やる数分前は、床に落ちたペンを拾うのに、背中がつっぱり、「いててててっ」と、ゆっくり体を曲げていたのにです。まるで魔法のようでした。足の痛みも突然、驚くほど軽くなりました。・・・前とは比べものにならない程の軽さなのです。

興福寺(奈良市)

Sさん、よかったですね。他のアメリカの方にも教えてあげてください。

あ、そうでした。書き忘れです。Sさんはお礼にとおっしゃって「ノースウェスト・チェリー」と書かれた小包を送ってくださいました。開けてみると、中には赤紫の美しいチェリーがいっぱい。からだほぐし教室に来てくださっている皆さんとわけあって食べました。グッドだったのは言うまでもありません。

海外から

この他にも、足が痛いので直し方を教えてほしいと、ロンドンから国際電話をもらったことがあります。この時はロンドンにもカイロがたくさんあるはずだが、と思いながら電話を受けました。足の状態を想像しつつやり方のヒントをお話しました。この女性は日本に里帰りして来られた時に朱鯨亭に来てくださっています。

また、腰痛の直し方をニューヨーク在住の日本人が聞いて来られたこともありました。この時は時間があったので、電話の向こうで寝転んで実際に腰を動かしてもらいました。よくなったと喜んでいただけたようです。

海外からのご質問には、できるかぎりお返事を書きたいと思っています(国内のご質問にお答えしないわけではありません。国内の方は遠方でないかぎり、できればお越しいただきたい、という意味です)。メールのお代はいただきませんが、うまくよくなれば、土地の産物でも送っていただけるとうれしいですね ^^)。でも、メールが殺到するようなことになればどうしよう "");  → 質問ということ

( 2006. 06 初出 )