手の探求

lamb's-ear
ラムズイヤー

仙骨に圧痛

手と全身が対応していることは、よく取り上げています。足ツボであれば、足のどこかと身体のどこかとが対応していますし、耳ツボなら、耳のどこかが対応していることになります。それと同じように手のどこかと全身とが対応しているとすれば、全身をどうにかする代わりに手をどうにかすれば、身体のどこかも良くなるという、そういうやり方です。今回もそうした結びつきが顕著な一例を取り上げてみます。整体に行って腰痛がかなりよくなったものの、まだ少し残っていて、なかなか消えないという若い女性の訴えでした。

伏臥してもらって骨盤を見ると、さほどの歪みはないように見え、何も問題がないように思えるのですが、骨盤の中央にある仙骨の右側を押さえると少し圧痛がある。確かにそこに触れると少し盛り上がりを感じ、仙骨の右側がやや手前に来ています。仙骨の左が前、右が後ろにと、やや斜めになっています。

lavender
ラヴェンダー

手の甲が硬い感じ

手と全身の対応関係を使うなら、仙骨に対応する手の甲の有頭骨を押えることになります。この時は女性の右手の有頭骨に手を触れると、少し手の甲に盛り上がりがあり、硬い感じがしました。

この「感じ」は説明しきれませんし、慣れない人が手の甲を触ってみても、そう言えば硬い気もする、という程度の話で終ってしまいます。こんな触感に何度もなじんで慣れるより仕方がありません。「硬いと言われると硬いような気がする」と言っても色んなレベルがあって、ここから先は異常だと簡単に識別しきれる人は慣れた人でしょう。

いずれにしても、この時は何か変だなという感じがしました。「変だな」という感覚を説明するのは難しく、これまた「変だな」というケースに何度も遭遇して、これが「変だな」という感覚か、と納得する以外にありません。例えば、いつもの道を歩いていて、何かが少し違っていると「おっ」と思うことがあるでしょう。そんな感覚でしょうか。

そこで仙骨に対応するあたり、手の有頭骨の周辺に掌側から愉気をしました。しばらく、そうしていると、甲側の硬さがとれてきます。これでよしと仙骨に戻って押してみます。どうですか、痛いですか・・。いいえ、痛くありません・・。そうでしたか。盛り上がった感じになっていたところが平らになってるんで、正常になったんでしょうね・・。

nasturtium
ナスタチウム

手が変化すると身体が変化する

なぜ手が変化すると、それと対応する部分が変化するのかは分かりません。色々と説明はあるようですが、決定的なものには思えません。ただ、事実として多くの症状が改善する。この場合は、手の骨が歪んでいたのを愉気をすることで元の位置に戻したところ、それに対応する仙骨にも同じような変化が起きたということです。

このように、どこかが何だかおかしいが原因が分からないという時に、手を調べて甲のどこかに硬いところがないか探してみるのは、ずいぶん有力な方法です。もしもどこか硬いな、と感じるところがあれば、その裏側つまり甲側に硬さが感じられるようであれば、掌側からしばらく愉気してみるんです。いつかも書いたように、淡々と手を当てているだけのことです。2~3分もそうしていると硬さが取れてきますから、それで症状が変化していることが多い。

慣れた人なら、指を当てているうちに「ああ緩んで来たな」という感覚が分かるかもしれませんが、「緩んできた」という感覚もなかなか慣れないと難しいかもしれません。そんな時は3分ほどかけて時間を長めにやることです。そうすれば、たいていは緩んでいることに気づくでしょう。

ちなみに、手と全身がどのように対応しているか知りたいという方は、次の番地に詳しい図があります。→ http://www.shinkyu.com/syushi/syushi2.htm また「指ヨガ」関連の本を見ると、書いてあることでしょう。

( 2012. 06 初出 )