顔と身体

顔の造りと身体の状況とは密接な関係があります。互いに一方がよくなれば他方も良くなる関係です。

kankoku no men
韓国の面(天理参考館)

顔が歪んでいる!

月一で来られる Oさんという男性です。いつもそんなにひどい症状ではないのだけれど、PC作業が多いからか、色々と不調が出るようです。今回は入って来られて第一声が、

――かなり不調です。

いつものことながら入って来られた方のお顔を、私はまず見ます。顔は正直というか、顔に何かが表れていることが多いからです。この日は、左右で眼の大きさが違い、鼻が歪んでいました。これはただごとではない。かなりの歪みがあるはずです。肩の高さも少し違っています。何が起きたのだろうか。

早速あちこち触ってみるとやはり何だかおかしい。全体にかなり捻(ねじ)れています

── 何か捻るようなことをしましたか? と私。

── いいえ、別にー。

── 本当ですか。どうもおかしいなあ。何か捻っているはずですが?

ぶつぶつと

── やっぱり捻れてるなあ。

とか、独り言をいいながら私はあちこちを動かしています。そのうちに Oさんが

── 白状しますと、この前来たあとで張りが強くて、マッサージに行ったんです。

── はあー。なるほど。それならありうることでしょうね。

こんなやりとりがあって、少し納得できたような気持ちになりました。ただ、それではマッサージがそれほど悪いのかと言えば、そうとも断定できません。確かに下手な人がマッサージをすると、おかしくなることはありうると思います。どこがどうなっているのか見もせずに、やたらにそこらじゅうを揉みまくれば、後でからだ中がグダグダになって、少しの力で捻れてしまう、というのは、いかにもありそうです。マッサージでおかしくなったと言って来られる人が時々あるのも事実です。

kankoku no men
韓国の面(天理参考館)

操法のマニュアル化

マッサージの是非はさておいて、私が何をしたかを書いておきましょう。まず足首の変位を正して、骨盤の捻れと傾きを元に戻しました。その後に背中の捻じれをとります。それから腕の捻れ、肩の捻れを開放する。簡単にいえば、この辺りまでやりますと、顔の変形は元に復元したようです。

普通は顔の変形がそう簡単に元に戻ることはありません。でも Oさんの場合は歪みが古くないので、簡単だったのでしょう。私が顔の歪みを意識して修正しようとするまでもなく、正しい位置に戻ってしまいました。これには私の方が驚いた。古い歪みでなければ、顔の歪みさえ簡単に復元できるということが確認できたからです。

ごく最近、整体の手順をある程度マニュアル化することも、不可能ではないと思うようになってきました。整体の手順というか、施術の順序が個人によって違うのは事実です。まったく同じというわけには行きません。同じ人でも時によってやり方が違います。ただ、そこに共通性があることが見えて来たような気がします。簡単にいえば、下から上に進むという順序ですが、辿り方の順序が重要です。そこにどの操法を入れて行くのか、ということも大切です。このあたりをマニュアル化すれば、あまり複雑なことをしなくても、かなりの効果を上げることができるのではないか。こんなことを意識して今は整体に取り組んでいます。

kankoku no men
韓国の面(天理参考館)

整体のこれから

整体は本当にどこまで行ってもキリがないものです。それだけに、いくらやっても好奇心の種が尽きません。私は今年64歳ですが、こんな調子ですから、まだまだこれからが勝負どころです。

できれば、この手順を講座でも取り上げたい。それが可能だと思い始めました。でもそのためには、まだまだ私自身の精進が必要です。

( 2011. 05 初出 )