顎と頸椎の関係

顎と頸椎の関係だって? どんな関係があるんだと疑問に思われる方が多いかもしれません。でも確かに両者のあいだには関係があります。顎が変だと思っている人は、じっくりお読みになってください。

allium
アリウム・ギガンティウム

疲労の蓄積

「顎関節症」(がくかんせつしょう)と呼ぶ症状の人をたびたび見かけます。口が開きにくい、耳孔の前の顎関節のところが痛い、口を開けるとゴリっと音がする、そういう症状をまとめて顎関節症と呼んでいます。

仰向けに寝てもらって、下顎角の位置を調べてみます。「下顎角」(かがくかく)というのは「えら」の出っ張りのことです。すると左右のえらの位置が違う。対称の位置にない人がたいへん多い。もちろん頭の位置をまっすぐにしておいてから調べるのですが、たいていは、左の方がやや奥まって感じられるでしょう。大雑把に見ると左右対称のようだが、決してそうではないことが分かります。

口を開けるとゴリッとクリック音がするのを、どうすればいいだろうか。音がするのは直しにくいと施術者は思っているでしょう。ところが頸椎1番を正すと、音がしなくなるケースが多い。頸椎1番を正しい位置に戻すのは、難しくありません。

頭と頚の繋ぎ目といえばいいか、後頭部のすぐ下に頸椎2番の骨をたいてい感じます。この頸椎2番という骨は大きくて、遺体を焼いた後も残りやすいので「のどぼとけ」と呼ばれています。のどの膨らみが「のどぼとけ」ではないのかと思う人が大半でしょうが、軟骨なので、焼くと消えてしまうそうです。それで残りやすい頸椎2番を「のどぼとけ」と呼ぶのでしょう。ただ少数ながら、人によって頸椎2番を感じられない場合もありますので、必ずこの骨は触れられるというわけではありません。

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バラ

急性疲労

それはさておき頸椎1番を正すには、後頭骨と頸椎の境目、つまり頸椎2番のすぐ上の骨を感じないところに両手の親指を揃えて当てて、そのままじっとしていれば次第に整ってきます。簡単にいえば愉気をするわけです。ここに頸椎1番がありますが、この骨は後ろの突起がないために触ることができない。いわば、頸椎2番と後頭骨の間の空間に愉気をすることになります。時間にして3分~5分ほどでいいでしょう。

3分~5分というのは曖昧な言い方ですね。頸椎1番には横に突起があって、それが耳たぶのすぐ後ろの溝状のところに感じられます。ここを触ってみて左右に感覚差がなくなれば、頸椎1番が整ったことになります。逆にいうと、まだ左右差があるようなら、頸椎1番の歪みが残っていることが分かります。

さてこれで頸椎1番の回旋や傾きが修正されます。ここが修正されるとどうなるか。内部のことですから、想像するしかありませんけれど、頸椎1番の上にまっすぐに後頭骨が載っかっている状態になるのでしょう。すると顎のえらの位置が左右で揃ってくる。口を開けてみると、クリック音がしない。左右の顎関節の位置が悪いために、ひっかかりが生じて、音が出ていたのでしょう。

agapanthus
アガパンサス

急性疲労の蓄積

しかし、上記のようにやってみてもクリック音が消えない人もいるはずです。そういう人には頸椎1番の歪みだけでなく、顎関節の歪みを生む他の要因があるからです。考えられるのは、顎関節のぶら下がっている側頭骨の位置が悪い、したがって後頭骨の位置が悪い、顎関節に変形が生じてしまっている、などでしょう。

これらについては、さらに別の対策が必要になりますが、取り敢えず上記のことをしてみれば改善する人が多いようです。顎関節症だと自覚している人は、ぜひお試しください。誰もしてくれる人がいない、という人はご自分でやってもいいですよ。

ただし頸椎だけを整えても、背骨の下の方がガタガタでは頸椎1番がすぐに狂ってしまいます。背骨を改善することが必要ですから、寝床体操を続けてみてください。施術者の方々は、骨盤と背骨の調整をすることが必要です。

( 2012. 12 初出 )