一念無想

俗に、瞑想をするときは無念夢想で、などといいます。ところが実際に少しでも瞑想をしてみた人は、無念無想などということが簡単にできるわけがないと思っているはずです。無念無想でいようと思っても、次々といろいろな想いが浮かんできて、尽きることがありません。ではどうするのか。一念無想にすればいいんです。

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春日原生林の倒木

たとえばマントラ瞑想というのがあります。「マントラ」 mantra などという専門語を使うと、いかにも難しそうに見えますが、なんのことはない、頭の中で呪文を唱え続ける瞑想です。ポピュラーなのは「オン マニ ペメ フム」というチベットの瞑想でしょう。孫悟空の出てくる中国の西遊記に「オンマニハツメイウン」という呪文が登場します。これには原典があって、「オン マニ パドメ フム」 om mani padme hum というインドの呪文です。これをチベット仏教では「オン マニ ペメ フム」という風に発音します。何の意味か、というのはとりあえずどうでもいい。むしろ意味はわからないほうが、余計なことを考えないでいいかも知れません。

これを瞑想中に頭の中で繰り返します。発音する必要はありません。 雑念が湧いてきたら、また「オン マニ ペメ フム」に戻る。 おいしそうな食事のイメージが浮かんできたら、いかんいかんと思い直して、 また「オン マニ ペメ フム」を繰り返します。 そうするうちにだんだんと瞑想が深くなってきます。 もしもどうしても気が散って瞑想が深まらないという人がいたら、 何かの理由でその人のエネルギー状態が悪くなっていることが考えられます。 そんなときはどうしたらいいか。

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大阪 鶴見緑地で

私はヨーガ yoga のアーサナ asana (ポーズ)を何かしてみることをお勧めします。特別にこれだということでなく、指導書を見ながらでもいいですから、自分にできそうな アーサナをいくつかやってみる。そうすることで、エネルギー状態がずいぶん改善されることでしょう。ヨーガは決して難しげな体操などではなく、瞑想の方法だと考えるのが、いちばん適切ではないかと思います。

その他の簡単な方法としては、ろうそくの炎を見つめるとか、お香を焚く、緩やかな音楽をかける、小鳥の声を聞く、イメージの中の一点を見つめる、などの方法もあります。ようするに、次々と登場してくる雑念を払って、一つの対象にだけ意識を集中するのが瞑想のコツということになります。そのためにどのような方法をとるか、数々の工夫がされています。