目舞い

abelia
アベリア

目が踊る

目舞い」とは妙なる字の使いようだなと思われたでしょうか。まさにこの字がぴったりくるような「目舞い」に見舞われたので、書いておきます。

9月1日、福岡セミナーの一日目が終わり、ホテルで妻と一緒に朝食を摂っていた時のことです。突然、両目の焦点が合わなくなりました。目の前のものが二重に見えます。前に坐っているカミサンの顔も二重に見える。これじゃピカソの美人じゃないか。

ずっと同じように二重になっているのではなく焦点のズレ方が刻々と変化します。これは堪らんと目を閉じたくなりました。両の目が少し揃って来て、ああもう直るのかなと思うと、またしてもひどい狂いになります。そしてそれが上下に動く。いよいよ世の終わりが近づいてきて、その予兆なのか、これは「世の終わりのための四重奏曲」なのかと一瞬ぼんやりと考えたほどでした。

いわゆるフラつく「めまい」ではありません。椅子に坐っているんですから。寝ていると天井がグルグル傾いたり床が傾いたりする「めまい」でもない。まさしく「目舞い」と書き表すのが的確でしょう。目の玉がひょいひょい舞っているようだ。こんなことはもちろん初めてです。こういう症状が果たして多くの人に起きることがあるのかどうかも不明です。

とっさに考えたのは、頸椎1番がおかしくなって焦点があわなくなったのかということです。ガタガタの山道を歩いた時など、両目の焦点が合わなくてつらくなることがあります。それがひどい状態で起きたのではないか、そう考えたんです。そこで目を閉じて、頸椎1番に愉気をしました。といっても頸椎1番は直接さわることができません。後頭骨を下へなでおろして盆の窪といわれる辺りに自分の両手の中指を当てて、約3分じっとしていました。

3分経って目を開けてみると、もう完全に直っていました。

mukuge
むくげ

下ごしらえ

なぜ「目舞い」になったのだろうかと考えてみると、ホテルのベッドがよくなかったに違いない。起きた時から何か背中がしゃんとしない。だるくて曲がっているように感じていました。やっぱりベッドはよくない。背骨が歪み、それにつれて頸椎も歪み、後頭骨の奥にある蝶形骨が歪み、目が舞い始めたのに違いない。そんな風に思いました。

それ以来きょうまで、同じ症状は全然おきていませんし、これまでも目舞いを起こしたことはありませんから、ベッドが原因と断定していいでしょう。個人的にはベッドの寝心地は最悪です。板の上に寝る方がよほど気持ちいい。マットにわずかに背骨が沈んで自然弯曲をサポートするので、良いベッドが健康に良い、などという説明は嘘っぱちです。よそに出かけてベッドに寝るたびに居心地の悪い思いをします。たまにいいベッドに出会うことがあっても、ほとんどのベッドは失格だと断言しておきたい。

畳ベッドなどというものがあるそうですが、そんな製品が現れるのはベッドが嫌いな人がいるからでしょう。畳ベッドで堅苦しい思いをするくらいなら初めから布団で眠ればいいのに、と思うのは、私の勝手です。

mamakonoshirinugui
ままこのしりぬぐい

指の関節を整える

ま、以上は私の普段からのベッドへの恨みつらみ。嫌いなものは嫌いなんだからしようがない。特に今回はベッドの欠陥を徹底的に思い知らされたので、いきり立っているだけですから、いいベッドもありますよ、などという反論はいただかなくて結構です。

一般的な「めまい」の対策をまとめておきましょう。一番は骨盤の真ん中にある仙骨です。ここが歪んでいないかどうか。次に背骨が歪んでいないかを調べます。仙骨と背骨が整えば頸椎はほぼ自動的に整いますから、めまいは収まってくるはずです。もっと簡単にいえば、寝床体操の1番~3番をする。1度で解決するわけではないけれど、何日か繰り返すうちに次第に落ち着くはずです。めまいのある人はベッドを止めにすることが必要です、もちろん。

( 2013. 09 初出 )