足が《つる》人

いわゆる「こぶら返り」は「こむら返り」という言い方がなまったものです。インドの蛇とは関係がありません。そして「こむら」は「ふくらはぎ」の古い言い方だそうで、この「こむら」が「返る」。つまり「ふくらはぎ」がひきつる。

痙攣(けいれん)する

関西ではこれを、足が《つる》という人がよくいます。《つる》という言い方が標準語なのかどうか、よく分かりません。これが《釣る》なのか、それとも《吊る》なのかもよく分かりません。辞書を見ると、《攣る》という表現が出ていますから、これでしょうか。いずれにしても関西以外の人に分からなかったら困りますから、《つる》と括弧つきで書いておきましょう。足が《つる》人が多い。

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神戸「百花園」
溝端久枝さん提供

これはいったい何なんだろうか。足が《つりそう》になった時、どこがどのようになるのかを観察すれば、《つる》という現象の原因が分かるかもしれません。私自身の足はどうか。めったに足が《つる》ことはありませんが、あまり変な角度に足首をもっていくと、確かに《つりそう》にはなります。

これは一体なになんだろうか。もちろん、人によっては足以外のところが《つる》人もいるでしょう。背中がつりそうになる、という訴えすら聞いたことがあります。要するに、どこかを無理な角度にもっていこうとすると、そのあたりの筋肉が痙攣(けいれん)を起こすのを《攣る》(つる)と表現していることになります。

大きく変化できない

ここでは話しを足首に限定しましょう。足が《つる》というのは、多くが足首の問題であるらしいからです。試みに足首を手前にそらせてみましょう。これで足首が《つりそう》になった人がいることでしょう。あるいは足首をまっすぐにそらせようとすると《つる》という人もいるかもしれません。同様に、内側に大きくひねろうとすると《つる》人、外側に大きくひねろうとすると《つる》人もいることでしょう。要するに足首の筋肉をどちらかの方向に大きく変化させようとすると《つる》んですね。

言い換えると、筋肉が大きく変化できない状態が潜在していて、これを大きく変化させようとすると《つる》ということになります。

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神戸「百花園」
溝端久枝さん提供

足首の関節が硬い

ですから筋肉が《つり》を起こすには条件があるわけです。筋肉の動きが悪いことです。よく動く足首を持っている人であれば《つる》ことはないはずです。ではなぜ動きが悪いのか。足首の関節の動きが悪いからです。なぜ関節の動きが悪いのか。

足首のところでベアリングのような働きをしている距骨(きょこつ)という骨があります。かかとの骨とすねの骨の間に挟まった比較的ちいさな骨ですが、これがずれる(というより、固まっているといった方がいいのかもしれません)と足首の動きが悪くなる。逆にいえば、この関節のずれを修正して動きをよくすると、足首の動きがよくなります。

足首を動きやすく

「かかとの大切さ」の項目でも「こぶらがえり」の直し方として、小指の第一関節を外側から内側へなでるやり方をご紹介しました。こうすることで、共鳴によって距骨周辺の筋肉がゆるみ、結果として距骨のゆがみが修正されているからだと感じられます。ただし、歪みがきつい場合はこれだけで修正することは難しく、操体法のやり方を応用して修正することが必要です。詳しくは朱鯨亭にお越し下さい。