靴という伏兵

靴の状態が人のからだに大きな影響を与えているようです。靴の選び方・底の減り方に注意が要ります。

cacao
カカオの実

距骨の位置で靴の減り方が変わる

いままで漠然と靴がからだに与える影響は大きいだろうなと思ってはいました。けれど詳しく調べてみる機会がなかったのが現実です。

しばらく前にこのように書いたことがありました。【距骨の位置が変わると靴の状態が変わる】と。確かにその通りでした。でもその前に、靴を履いているだけで全身が影響を受けてしまう事実に十分に目が届いていたかというと、必ずしも十分ではなかった。距骨の位置が変った時に書いたのは、次のようなことです。

―― 靴底の減り方が明らかに変化しました。かなり外減りしていたのが、踵全体が減るようになった。操法をしてもらって何日か経ってから靴を手にとって底を見て、我ながら驚きました。こんなに違うものか、と。(メルマガ第676号)

こんなことがあって、長年「愛用」して来た靴Aは減り方が変化したものの、全体として使うに耐えないほどひどい状態だなと感じて捨ててしまいました。そして代わりに、しばらく履いていなかった靴Bを引っ張りだして今はそれを履いています。(もう一足の靴KはK靴工房で作ってもらった靴です)

aristolochia
アリストロキア

靴底の状態が大きな影響を与える

靴底の素材は靴によってずいぶん硬さが違うようで、捨てた靴Aは柔らかいらしく、減りやすい。一方のオクラ入りしていた靴Bは硬くて減りにくい。この靴Bもそれまでの片減りがあったので、減りを修正しようと、レンガで少しこすって平らにしようとしたのですが、そう簡単に減らない。そこで、まあよかろうと、そのまま(ほんのわずかこすった程度)で履いてみました。

ところがわずか0.何ミリ削っただけで、その日は足が痛くなってしまった。靴底のわずかの厚みの違いで身体に与えられる影響が、これほど大きいとは驚きです。靴工房のKさんに聞いてみると、中敷きを調整するときにはその程度の差を考えながら調整するんだそうです。1ミリ以下の差が身体に影響を与える!

これは何も底をこすったから足に影響が出たという話しではありませんね。すでに、皆さんの履いていらっしゃる靴は何らかの減り方をしているはずです。底が内も外も同じように減っているのであれば問題はありません。ところが大抵の人の靴は目に見えて外減りしている。外減りするのは足の重心が外にかかっていることを示しますから、そんなに外減りした靴を履いていると、こする程度の影響では済まないでしょう。せっかく距骨を調整しても、すぐまた戻ってしまうことになる。

ですから、膝が痛い人、O脚で悩んでいる人、坐骨神経痛で悩んでいる人、そのような人は、自分の靴底を見て片減りがひどければ、【底の張り替えをしてもらうか、状態がひどければ、捨てて新しい靴を履いた方がよい】、という結論になります。あるいは自分で実験してみる勇気のある人は、すこし減っていない方をレンガか何かでこすってみる(たくさんこすると足が痛くなるかもしれませんから、わずかにしてください)のも一法です。ただしその時は、外踝と内踝に指を当てて10分ほど愉気をしておくことが必要です。

こんな風に、靴は人体の健康にとって大変に重要な意味を持っていることが分かります。ところが、この事実が知られていない。Kさんに言わせれば、メーカーや販売員にも知識が欠けているか、知らん顔をしているかだという。整体屋にとって重大な意味があるだけでなく、一般の人々にとってゆるがせにできない重要性があるといっていいでしょう。外減りした靴を履き続けていると、脚がますますO脚になっていくことになります。

nanten
南天

鎖骨と捻れ

では、どうすればいいか。とりあえず靴または履物について言えることを挙げてみましょう。

1) あまり片減りのひどい靴は捨てる。先日お客さまから見せてもらった例でいうと、数か月でひどく減っている場合がありました。いずれにせよ、古い靴をもったいないと、いつまでもとって置くのは感心できません。

2) 靴底が張替え可能であれば張替えてもらう。でも、張替え料金は決して安くないでしょう。

3) 靴をやめて、草履か下駄にする。これなら毎日、左右を反対にして履くことで片減りを防ぐことができる。──これは「からだほぐし教室」に来ていらっしゃる和服の女性から聞いた話です。

4) 片減りがひどいというほどではないが、片減りしているのは確かだ、という程度なら、反対側をすこしこすって履いてみる。ただし、たいらになるまでこすると、踵全体が減った状態になって、これはこれで具合が悪くなることもあるので、注意が必要です。こすり過ぎるとその変化で足が痛くなる可能性もあります。

以上、とりあえず考えていることです。後はご自分でお試しください。まだ試行錯誤をしている段階ですので、責任を持てと言われても困りますから。

( 2014. 01 初出 )