共鳴変化

胸と対応している共鳴点である手の甲が変化すると、胸も変化するという話題です。あらら不思議、不思議。

udatsu
うだつ

肋骨が歪む

全身と手の甲などの共鳴によって身体が変化する現象については時々書いています。 具体的には手の甲をなでたり、押さえたりするわけですが、それだけでなく、手の骨の位置が少し変化すると、それと対応する身体の部分が劇的に変化する例を、2010年11月のセミナー@奈良で見ることができました。

詳しく書き始めると、また長すぎるとぼやかれますので、簡単に書きます。 セミナー参加者のYさんが2日目に腰が痛いと訴えられます。ホテルのベッドが柔らかすぎて体が沈み、 前日に少しおかしかったのが非常に悪化し、立てなくなってしまった。仙骨に愉気して、 何とか歩けるようになったけれど、まだ痛い、特に背中が痛いという訴えです。 私もあちこち触らせてもらいましたが、どこがどうなっているのかよく分かりません。

そこで、手の甲で何とかしようと、私がYさんの手の甲をあちこち探っているうち、 薬指の付け根の骨(中手骨)が硬いことに気づきました。骨が硬いのは当たり前だと言わないでください。 硬く感じるのは、その骨の動きが悪くなっている証拠だからです。硬く感じるのはよくない。 同じ骨でも人によって時によって硬さが違う。どうも、Yさんの中手骨がおかしくなっているような感触です。 そこで掌側から中手骨のあたりを軽くじっと押さえて10秒。ぱっと手を離すとYさんから 「痛くない」 と叫び声。 そうです。手の骨が正位置に戻ったら、背中も正位置に戻ったんです。

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長屋門

手が直ると背も

つまり手の骨の変位が、背中の何かの変化と連動していたということになります。 背中のどのような変化であるかが分かっていれば、そちらの方から直ることが可能だったかも分かりませんが、 現実には何が何だかよく分からなかった。それが手の甲の変化に伴って変化した。 誠に不思議を感じる一瞬でした。参加者の皆さんも、あれには強い印象を受けられたに違いありません。

なぜこういう対応というか共鳴現象が起きるのか、そのメカニズムは分かりません。 通常は共鳴が起きても変化はマイルドといえばいいか、ゆっくりです。しかしこの場合は瞬間だった。 この場合だけなぜ瞬間なのか、それもよく分かりません。ただ、前回に書いたように、 胴体の部分は全身のバランサーのような役割を果たしていて、歪んだり捻れたりしやすい。 歪みの原因が消えると同時に歪みも消えたということなのかもしれません。

そして、これは共鳴なのか、それとも何か物質的なつながりによるのか、はっきりしませんけれど、 足を変化させると、後頭骨のあたりが変化するのは、よくあることです。手の場合も、 足と同じようなことが起きるのかもしれません。

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五輪塔

手の状態を良好に

いずれにしても手を正常化すると、からだの対応部分も正常化するというメカニズムが存在していることは間違いありません。ですから逆に考えると、 手の状態を良好に保つことが一つの健康法であるといえます。手を良好に保つとは、どういうことか。 それは手の甲や掌を柔らかく保つということです。掌が硬くなれば、誰でもその変化に気づきますが、 甲が硬くなっても、たいていの人は気づかないでしょう。だからこそ、手の甲が硬くなったら、 何度でも柔らかくする努力をしておくことです。

誰かの甲を触らせてもらってください。すると、あ、これは硬いな、と感じる人がいるはずです。 あるいは左右を比べてみると、右の方が左より硬いといったことを感じるはずです。そういう場合、 掌の反対側(対蹠点)をしばらくじっと軽く押さえています。10秒ほど。すると、 甲側が柔らかくなっていることが分かるでしょう。腰が重いという人は、 これだけで腰が軽くなる可能性もあります。お試しください。すぐに戻ってしまうという人は、 同じことをなんども繰り返すことが必要かもしれませんが。

それから操法をする人たちは、何が何だか分からない人に対しては、手の甲を観察してみる、 というのも一つの選択肢かもしれませんので、研究してみてください。

( 2010. 11 初出 )